関係会社への貸付はご法度

赤字以外にも様々なことで財務内容は悪化し、金融機関からの評価を落とします。

財務が悪くなる原因=赤字決算と考えがちですが、赤字以外にもお金の使い方ひとつで金融機関からの評価に影響を与えてしまいます。


よくあるのが関係会社(子会社・兄弟会社)、下請け企業、役員への貸付金です。

関係会社や役員へ資金を貸し付けるという行為は現実に多くの中小企業で行われていますが、この「関係会社や役員への貸付」というのを銀行員は非常に嫌います。

金融機関側から見れば、元々この会社の事業のために使うという前提で審査をし、いろんな人間が関わってようやく融資の判断が下りたものです。

それにも関わらず、その融資資金をよその会社のために使う(又貸しする)という行為は、そもそもの契約違反に当たります。

関係会社貸付金などが発覚した場合、金融機関はその会社の資産総額からその「貸付金」を除外して評価します。

例えば「資産総額が1億円、負債7,000万円、自己資本(資本金+繰越利益)3,000万円」の会社があるとします。

表面的にはこの会社の自己資本比率は30%で優良企業です。

ただもし資産1億円のうち4,000万円が関係会社などへの貸付金だった場合はどうでしょうか。


貸借対照表の表面上の資産総額は1億円ありますが、貸付金4,000万円は資産から除外されるため、金融機関はこの会社を「資産6,000万円、負債7,000万円、自己資本△1,000万円」の実質債務超過の会社だと判断します。

よく「決算書の数字は良いのに、銀行から積極的な支援を受けられない」と悩む経営者の方がいらっしゃいますが、こういった部分が足を引っ張っているパターンが多いです。

こういった又貸しなどを、銀行員の方などはよく「資金使途違反」といいます。

関係会社への貸付というのはそもそも緊急性が高いケースが多いので一概には否定できませんが、それでも事前に、今融資を受けている金融機関へ相談を行った後に判断するようにしてください。