経営者の中には、
「当期は利益が出たから、前から欲しかった車を社長車として会社経費で購入しよう。『減価償却費』が増加するから節税にもつながるし」と考える癖を持った人が非常に多いです。
いわゆる【節税思考】、もっと言えばお金の使い方が下手なタイプです。
経営者たるもの、お金を使うときは
「この【投資】はどれだけの【利益】につながるのか」を常に軸にして考える必要があります。
「投資の失敗」は、会社が倒産する一番の原因です。
資金繰りが間に合わない、銀行から見放された。などを倒産の原因として語る方もいますが、それ自体は結果であって原因ではありません。投資を失敗したから資金がなくなったというケースがほとんどです。
あのとき高級車を買わなければ、利益につながらない設備投資をしなければ。手元資金はまだあったはずですし、銀行から見放されずに済んだかもしれません。
会社経営では、ほとんどの場合節税などの「税務」を判断基準にすると失敗します。
投資回収という「財務」の判断基準をもって、この投資は利益に繋がるのか、投資額を何年で回収できるのかをしっかりと考えて行動する必要があります。
もちろんこの「投資」とは、人の採用や育成、広告、設備など多岐にわたります。
投資を行う際に最も重要なのは、「投資した資金は、投資から生まれた儲けから回収をしなければならない」という点です。
投資金額を回収し切るまでは、たとえ決算書上の利益が増えていようとも、儲けたとは言えません。投資額を超えた回収があって初めて「儲けた」といえます。
【投資を早期に回収する】
会社の存続・成長のために、経営者は意識的でも無意識にでも何らかの投資をしていますが、これらの「投資」を行う際は、例外なく「投資回収期間」をしっかりと考える必要があります。投資回収期間とは、そのまま「投資額を回収するのに要する期間」を指します。
投資回収期間を短くするためには、「投資額を抑えることはできないか」「利益の回収スピードを上げることはできないか」の二点をしっかり考えることが重要です。
投資回収期間の理想は3年以下、長くても5年以内としてください。
飲食店の新規開業、新規事業開始の場合なども、必ず5年以内に回収する計画を作成してください。人の流れ、流行などは1~2年でガラッと変わります。回収に5年超がかかるのだとすれば、その投資計画は見直す必要があります。
もちろん、企業発展のためにはある程度リスクを取った投資を行う必要があるのも事実です。
そのためにも「事前に手元資金を厚くしておく(資金を多めに借りておく)」、「信用保証協会の枠を空けておく(プロパー融資を受ける)」という金融機関マネジメントが重要になってきます。