せどり事業者② ポイントの経理処理

※個人事業で獲得したポイント収益をどの所得区分に対応させるかは、ポイントの内容や事業構造に応じてさまざまです。ここでは『ポイントせどり事業者が商品仕入により獲得した楽天ポイント、PayPayポイント等』にフォーカスを当てて記載しております。すべての事業者・ポイントに対応する内容ではない旨ご承知おきください。

前回に続いてせどり事業についての記事になります。
ただ、他事業を行う場合でも考え方は変わらないので、何かしら気づきがあれば幸いです。

ポイントせどり事業を行う方から「獲得したポイントを事業所得・雑所得・一時所得のどの所得区分に対応させるべきか」という問い合わせを非常に多くいただきます。

これについて、基本的には開業届を提出し事業としてポイントせどりを行っている方であれば、ポイント収益は事業所得として経理処理していただいて特段問題ありません。

この時の経理方法としては

・ポイント使用後の支払い金額を経費計上する処理(値引き処理)
・ポイント使用前の支払い金額を経費計上するとともに、使用したポイントを雑収入に計上する処理(両建て処理)

の2つが考えられます。

この場合どちらで処理していただいても所得税法上は問題ありませんし、最終的な所得税額も変わりありません。

例えば10,000円の商品を購入し 4,000ポイントを利用、差し引き6,000円分を支払った場合では、

・①の場合は、6,000円の仕入高を計上するのみ。
・②の場合は、10,000円の仕入高と4,000円の雑収入を分けて経理処理する必要があります。

どちらも差引の経費として計上される額は同じなので、最終的な利益額も同じになります。手間を考えると①の方法で処理する方が良いように思われます。


ただここで一点注意していただきたいのは、消費税の計算です。

決算時(確定申告時)に 納める消費税額は【売上にかかる消費税-仕入にかかる消費税】で計算します。

このとき、①の経理処理の場合、仕入にかかる消費税は6,000円をベースに計算します。
これに対し②の経理処理であれば、仕入にかかる消費税は10,000円をベースに計算します。

つまり②の経理処理の方が、仕入にかかる消費税として引ける金額が多くなるため、最終的な消費税の納税額が減少することになります。

現行の消費税率は10%なので、例えば年間100万ポイント獲得する方であれば①と②の経理処理の違いによって、最終的に納める消費税の納税額に10万円もの差が出てきます。
(経理処理一つで税額に違いが出るのが、税務・会計の怖いところです)

このため消費税の納税義務がある方(課税事業者)については②の経理処理で行うことを強くお勧めします(弊社に依頼されたお客様については、当然②の方法で経理処理しています)。

これに対し、消費税の納税義務がない方(免税事業者)にあっては、手間の少ない①の方法で処理するのが良いかもしれません。

課税事業者が免税事業者か確認していただき、ご自身にあった経理処理を行うようにしてください。