事業性評価は「おまけ」

いきなり結論から入りますが、金融機関が融資を行うときの最大最高の書類は、今も昔もこれからも「決算書」です。

というのも、タイトルにもある「事業性評価」というものが数年前からいろいろな場所で叫ばれるようになりました。

専門の書籍もありますし、ユーチューブなどでも事業性評価とはなんぞやという解説が山ほどでてきています。


事業性評価を噛み砕いて説明すれば、「銀行員は決算書や数字ばかり見ていないで、会社の事業内容・人柄・成長性をしっかり見て融資判断してください」という意味です。

数年前から金融庁はこの事業性評価に力を入れており、各金融機関に事業性評価を重視するように言い続けています。


事業性評価で融資判断を行うのがもちろん理想であり、私もそうあってほしいと願っていますが、現実には旧来からの決算書重視の審査が変わらず行われており、おそらくこれからもしばらくは「決算書」が融資判断をする際の最重要資料です。

はっきり言えば決算書と事業性評価の重要性は9:1です。

それぐらい決算書が重要であって「これからは事業性評価の時代だから決算書が多少悪くてもお金が借りられる」ということはありえないです。


こんなことを言うと多方面からお叱りを受けそうですが、銀行員にも本音と建前があって「担保があれば貸せる」けれども社会的にそんなことは口が裂けても言えませんし、「御社を決算書だけで判断しています」なんて言えばクレームが付いてしまいます。

「私たちは決算書だけじゃなく事業性も評価している」という建前が必要になっているだけで、本心は決算書が最重要、次点で担保です。


事業性評価が利用されるシチュエーションというのは「決算書はそこそこなんだけどあと一歩で融資できない」「決算書としては微妙だけど、銀行員側としてはこの融資を通さないと自分のノルマ・支店のノルマを達成できない可能性があるから何としても通したい」といった時です。

こういった時に結論ありきで鉛筆を舐めたりします。

融資できるとする理由をなんとなく事業性評価とすることでカッコいいし案件会議でも納得性が得られる、融資不可となった場合でもお客さんに高度なことを言って上手くまとめあげてクレームにならないようにするため「事業性評価」という言葉が便利だったりするわけで、これ以上の積極的な活用はほとんど行われていないと思います。

今も昔もこれからも、決算書を磨くことが融資獲得のため最重要であり、しばらく変わることはないと思います。