取引銀行の選び方


[会社ステージ別の取引銀行数]

  金融機関  取引銀行数 
創業時 ・日本政策金融公庫  1
・信用金庫      1
創業後・日本政策金融公庫  1
・地方銀行     1~2
・信用金庫     1~2
3~4
成長期
安定期 
・日本政策金融公庫  1
・地方銀行     2~3
・信用金庫     1~2
4~6 

創業時

創業時は日本政策金融公庫で創業融資を受け、信用金庫で口座を作るのが基本です。  

日本政策金融公庫で融資を受けるメリットは借入難度が比較的低いこと、融資実行までのスピードが速いことが挙げられます。 信用金庫(保証付き)から創業融資を受けることも可能ですが、この場合は信用保証協会へ審査を通す必要がでてくるためスピード感で劣ります。
また営業許可が必要な業種について保証付き融資は営業許可が下りた後でしか行えないのに対し、日本政策金融公庫は営業許可前に融資をすることができるなどの違いもあります。

最初の事業用口座を信用金庫で作成するのは、次の資金調達に備えるためです。  
通帳取引もなく、業歴の浅い会社への融資というのは銀行としても慎重になりますので、創業の段階で口座を開設し、事業活動の入出金はその口座で行い通帳実績を作って次の資金調達に備えます。  


創業後~成長期・安定期

事業規模の拡大状況に合わせて、少しずつ取引銀行を増やしていきましょう。 
複数の銀行と取引することで銀行間に競争意識が芽生え、より良い条件での融資提案を受けることが可能となります。メインバンクだけと一行取引されている企業は多くありますが、 中小企業の銀行取引は複数行取引が基本です。 
一つの銀行とだけ取引すればいざという時に支援が期待できると言われますが、これは中堅以上の企業に限った話であって、経験上年商10億円未満の中小企業を銀行がリスクを負って助けてくれるということはまずありません。
詳しくは【銀行取引③(最優先はプロパー融資)】で後述しますが、日頃からプロパー融資獲得を優先し意識的に信用保証協会の一般枠を空けておくなど、中小企業ほど自らリスクコントロールを行う必要があります。

なお新規で銀行と取引する際は、いきなり銀行窓口で融資申込みをすると門前払いになる可能性が高いので、他の経営者や税理士・会計事務所からの紹介を受けるのが理想です。


[取引銀行の選び方]

日本政策金融公庫

創業時には利用した後は全く利用していないという企業が多いと思いますが、日本政策金融公庫からの借入は少額でも継続することをお勧めしています。
一度完済してしまうとその後の融資申込みは新規扱いとなり、融資実行まで数週間掛かってしまいますが、日頃から少額で借り続けておき追加融資という形で申し込めば、最短2~3日で着金されます。 
緊急時の資金調達用に、日本政策金融公庫からの借入は安定期であっても少額で継続することをお勧めします。


地方銀行

他県銀行(周辺他県に本店を置く金融機関)と付き合うことをお勧めします。  
愛知県で事業を行うのであれば、大垣共立銀行(岐阜)、十六銀行(岐阜)百五銀行(三重)、三十三銀行(三重)などです。  他県銀行というのは、その地域でのシェア拡大を目指すため良い条件で融資を行ってくれる傾向にあります。また配属される銀行員も優秀な人間が多く「ハズレ担当」を引く可能性が低いです。  


信用金庫

地方銀行とは逆で、その地域に根付いた信用金庫と取引を行ってください。  
市町村単位で「信用保証料の一部を市が負担する」「利息の一部を町が負担する」 など政策をとることがあります、こういった情報収集というのはやはり地場の信用金庫が強いです。
他県銀行などは意外と情報を持っていなかったりしますので、事業規模拡大後も地域の信用金庫とはある程度つながりを持っておくことをお勧めします。