銀行融資の種類

銀行融資の基本形態(融資の形式)には主に次の4パターンがあります。



・手形貸付(手貸:てがし)
・証書貸付(証貸:しょうがし)
・手形割引(割引)
・当座貸越(当貸)




手形貸付:
借入用手形を銀行に差入れることにより融資を受ける方法です。
借入用手形は銀行が用意するので、当座預金口座がない会社でも実行できます。
主に返済期間1年以内期日一括返済が基本となります。
メリットは借入手続きが簡素なこと。
初回融資で銀行取引契約書や保証契約書など結んでおけば、2回目以降は署名押印だけで済みます。
規模の大きな受注案件などで、
外注費・部材費の支払いが先行する際のつなぎ資金などで活躍します。
また、返済期日が来るたびに新しい手形に巻き直し、資金を借り続けることを短期継続融資(短コロ)といいます。
短コロは毎月の約定返済がなく、実質的に借りっぱなしにできるので資金繰りが安定します。
(もちろん業績が悪化した際に返済を求められるリスクはあります。)


証書貸付:
「金銭消費貸借契約書」を作成し銀行と契約を交わし、融資を受ける方法です。
主に返済期間1年を超える長期融資でこの方法がとられ、返済は基本毎月です。
大きい金額を長期で調達する場合は、ほとんどが証書貸付になります。
借入期間は、一般的に運転資金で3年または5年(条件がよければ7年)、
設備資金で5年~15年(設備の耐用年数に依存)です。
借入額、利率、返済額、返済期間などはすべて「金銭消費貸借契約書」に記載されており、
その通りに返済しなければなりません。


手形割引:
取引先から受け取った手形を、期日前に金融機関に買い取ってもらうことで
資金調達する方法です。
手元にある期日前手形を早期に現金化する方法なので、利用する側としては
「資金調達」という意識は薄いですが、これも銀行融資の一種です。
売掛ファクタリングとイメージは近いですが、ファクタリングと違って
不渡りリスク(手形発行元が倒産等した場合、返済義務が自社に回ってくる)を負うことになります。


当座貸越:
融資限度額(極度額)を設定して、その限度額までは自由に融資を受けることができる
方法です。審査が厳しいので、相当優良企業でないと活用は困難です。
似た制度にコミットメントラインというものがあります。
当座貸越が「借りている金額に対して利払いが生じるのみ」であるのに対し、コミットメントラインは借入利払いに加え「融資枠の設定手数料」を支払う必要があるため、トータルコストは高くつきます。

当座貸越は積極的に採用したいですが、コミットメントラインは使いどころが難しいです。


銀行からの資金調達というと「手形貸付」「証書貸付」が中心になります。